yuripinがゆく

yuripin/平渡 友理 1994年、宮城県仙台市生まれの大学院生(建築学専攻)。大学在学中に、ベトナム、ウズベキスタン、インド、台湾、香港、マカオ、シンガポール、タイ、インドネシア、マレーシア、オーストラリア、イタリア、チェコを旅する。現在は大学院でイスラム建築の研究をしている。趣味は旅と写真。

イスラム建築オタクが語る!イスラム建築の魅力と面白さ!vol2

こんにちは。イスラム建築が大好きな、yuripin(https://twitter.com/sounds_shick)です。

 前回vol1では、イスラム建築には地域によって様々な個性がある、という内容の記事を書きました。

yuripin.hatenablog.com

この記事を読んで、「逆に、すべてのイスラム建築で共通のルールってあるのかな?」という疑問を持った方も多いと思います。そこで今回vol2では、すべてのイスラム建築に共通のルールを紹介していこうと思います。

 

それでは早速、見ていきましょう!

 

 

1.幾何学文様の多用

幾何学文様とは、三角形四角形六角形などの多角形楕円直線などの単純な図形を部品として、それに平行移動、反転、回転、色の変化、拡大・縮小、分割などの操作を加えて連続して組み合わせることでつくった模様のことです。

 

幾何学文様のポイントはなんといっても、同じ操作を繰り返すことで無限の模様展開が可能になること!

(わたしの経験では、なぜか理系脳の方にファンが多いのも特徴です)

 

インド,アーグラ,I'timad_al-Daula(1628)

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 ORNAMENT AND DECORATION IN ISLAMIC ARCHITECTURE p147

 インドのイスラム建築は他の地域と比べ、極端に幾何学文様の割合が高いです。というか、建物に施される文様のほとんどが幾何学文様です。他地域では、もっと植物文様が多いのですが・・・

 

この理由としては、インドの人々の空間認知能力がとても高く、図形に対して他地域の人よりも鋭い感覚を持っているからであると考えられます。(詳しくは、ダゴベルト・フライの比較芸術学を読んでみてください)

 

 

エジプト,カイロ,カーイトバーイ廟(1472-74)

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ORNAMENT AND DECORATION IN ISLAMIC ARCHITECTURE p108

 

2.文字文様の多用

文字文様とは、その名の通り、アラビア文字を文様にしたものです。

 

パキスタン,ラホール,Wazir_Khan_mosque(1634)

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ORNAMENT AND DECORATION IN ISLAMIC ARCHITECTURE p155

 

 

トルコ,コンヤ,Ince_Minare_madrasa (1260-65)

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ORNAMENT AND DECORATION IN ISLAMIC ARCHITECTURE p157

 

ウズベキスタン,サマルカンド,Tilla_kari_maddrasa_mosque (1659-60)

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 ORNAMENT AND DECORATION IN ISLAMIC ARCHITECTURE p153

 

3. 人や動物の文様の不使用

 イスラム教では偶像崇拝を禁止しているため、ほとんどのイスラム建築には人や動物の文様はありません。

がしかし

どこの世界にも常識を突き破ってしまう面白い人がいるもので、イスラム建築にも人や動物の文様を使用している例が、ごくわずかに存在します。

というわけで、ここではその超珍しい例を紹介していきます。

 

ウズベキスタン,サマルカンド,Shir_Dar_maddrasa (1619-36)

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ORNAMENT AND DECORATION IN ISLAMIC ARCHITECTURE p132

これは、サマルカンドのレギスタン広場という、中央アジアで最も有名な観光地にあります。これは実際に生で見たことがあるのですが、ガイドさんいわく、このライオンによって当時の支配者が自分の権力を誇示しようとしたのだそうです。

ちなみにこのライオンは、ウズベキスタンの紙幣、200スム札の絵柄にもなっています。「イスラム教の国」というと身構えてしまう方もいるのですが、ウズベキスタンに関しては、実はけっこうおおらかなお土地柄だったりします。

 

それにしても、なぜライオンの背中に人の顔を描こうと思ったんだろう・・・

大変面白いデザインだと思います。

 

 

 シリア,アレッポ,アレッポ城の,一番表側のドア(13c)

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 ORNAMENT AND DECORATION IN ISLAMIC ARCHITECTURE p133

 

 4.植物文様の多用

植物文様とは、その名の通り、植物を文様にしたものです。

 

ウズベキスタン,ヒバ,Islam_Khwaja_madrasa (1908)

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ORNAMENT AND DECORATION IN ISLAMIC ARCHITECTURE p139

 

 

トルコ,ブルサ,Green_mosque (1412-13)

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ORNAMENT AND DECORATION IN ISLAMIC ARCHITECTURE p137

 

 

インド,アーグラ,タージマハル(1653)

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ORNAMENT AND DECORATION IN ISLAMIC ARCHITECTURE p140

 

~タージマハルに関するちょっとした余談~

タージマハルは、ムガル帝国が最盛期だったときの皇帝、シャー・ジャハーン(在位 1628~1658)が、彼の最愛の王妃ムムターズ・マハルが38歳で亡くなった際に、彼女の記憶を永遠に留めるために建造した墓廟です。(なお、シャーの彼女への愛は大変深く、彼女の死後、彼は生涯心が晴れることがなかったそうです。)

 

実はもともと、インドには輪廻転生の概念があることから墓を建てるという習慣がなく、イスラームの進入によって廟建築がもたらされたのでした。

そしてその廟建築を最も発展させたのがムガル朝であり、その先駆けとなったのが、ムガル朝の第2代皇帝の墓、フマユーン廟です。(デリーを観光した方なら、ほとんどの人が行っていると思います。)

 

インド,デリー,フマユーン廟(1565)

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https://wondertrip.jp/asia/83707.html

このフマユーン廟が大変素晴らしい出来であったため、以降、インドの廟建築のほとんどがこの形式に倣いました。そして、その発展の頂点が、タージマハルなのです。

 

インド,アーグラ,タージマハル(1653)

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https://www.skygate.co.jp/sa_city/oversea/in_k620_f

 

 

5.皮膜的建築であること

皮膜的建築とは、内部空間の充実を最重要視し、外部に表れる形態は二の次とする建築のことを指します。

ここで、「え、上のタージマハルとか、フマユーン廟とか、レギスタン広場とか、全部外部がメインだと思うんだけど。」と思われる方もいると思います。がしかし、実はこれらの写真自体が、「内部」を写したものなのです。

 

例として、まずはじめに、ウズベキスタンのレギスタン広場を挙げてみます。

 

ウズベキスタン,サマルカンド,レギスタン広場(14c~17c)

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https://ameblo.jp/jyorogumo/entry-11986417024.html

建物がすべて、内側を向いているのが分かります。この、内側、すなわち内部空間を充実させるのが、イスラム建築全体に共通する特徴となります。

 

ついでに、タージマハルについても見ていきましょう。

 

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https://www.sekai-totsugeki-jouhou.com/2014/01/19/taj-mahal/

タージマハルの全体像はこのようになっています。

来訪者は、はじめに1,2,3いずれかの門から入場し、次に、巨大な7の門をくぐり、やっとタージマハルを見ることが出来ます。

 

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http://blog.livedoor.jp/caravannight/archives/51933621.html

写真は3の門周辺から見た、7の門です。7の門は高さ30mもあるため、タージマハルは見えません。

人々は、門をくぐって内部にはいることで初めて、タージマハルの美しさに触れることが出来るのです。

 

 

6.その他

その他にも、反復性があること、境界線があること、対称性があることが、イスラム建築全体に共通するルールとなっています。これれの要素については、上記の写真や、vol1の写真を見ていただければ、お分かりいただけると思います。

 

 

おわりに

 

いかがだったでしょうか。

この記事を通して、皆さんにイスラム建築をより楽しんでもらえたら幸いです。

 

それではまた次回、vol3でお会いしましょう!

 

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